あそび隊遠州灘でアマダイに会う

カテゴリー │漁徳丸遠州灘アマダイ漁



甘鯛(アマダイ)は関西特に京都で高級食材とされるおいしい
魚です。関西では「グジ」と呼ばれています。

「アマダイ漁に一緒に行こう」

誘っていただいていたのは遠州灘の深浅測量同行記「漁徳丸&
あそび隊もっと東へ!
」でお世話になった漁徳丸のエージ船長です。

じつは何度かチャンスはありながら沖が荒れていたり濃霧が出
たりと安全を考えていただき延期を重ねていましたが、今朝よ
うやく実現することができました。



舞阪港のアマダイ漁は日の出操業ながら、その時間には狙った
漁場のポイントに着き、漁を始めます。
舞阪港の漁徳丸に集合は午前2時、あそび隊は初めての昼の漁
に同行して向かいました。



明日より順を追ってアマダイ漁同行記を書いていきますが、
美しく澄み深く沈んだ網を揚げ、ピンクに輝くアマダイを揚げ
る楽しさすばらしさはとても感激するものでした。

舞阪港の美しい魚、おいしいアマダイはこうして獲られている。
書き進めていきます。

漁徳丸のエージ船長、同行させていただき感謝いたします。



 

漁徳丸 超早朝に向かうアマダイ漁場

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「遠州灘のアマダイ漁に行こう!」

誘っていただいたエージ船長の漁徳丸が着く舞阪港に集合は02時、
早朝というより深夜の時間帯です。



日曜の早朝のこの時間、なんと港周辺には釣り人がいっぱい、釣
り人と漁師さんは夜も眠らないのです。

深夜真っ暗な中、舞阪港を出港し今切口を抜けて遠州灘へ向かう。
肉眼では航行灯などが見えるだけの海を行くのです。



漁徳丸ら外海を行く漁船はレーダーや魚探、GPSなどを装備して
います。
真っ暗な中ではレーダーに写る船影を見て航行していきます。

「ほら、この下は漁礁だよ」、右下の魚群探知機が海底にある
大きな盛り上がりを示しています。遠州灘には自然の、人工の
漁礁があります。ここを狙って釣り船などがやってきます。



目的の漁場に着いた漁徳丸は日の出を待ちます。
その間に後続する舞阪港の僚船たちがやってきます。

お互いの漁を干渉しないよう船同士で盛んに無線連絡が交わさ
れます。海霧がかかる朝の海ではお互いの安全確認も会話する
ことで行われています。

「さあ!網を降ろすよ」

痛恨のピンボケながら、船尾から目印となる旗浮きとブイをつ
けた三枚刺し網がスルスルと落ちていきます。450メートルも
ある大きな網です。



網に続いて手首ほどもある太いロープが下ろされます。

アマダイ漁の三枚刺し網は底に長く広がります。その網を曳き
深さまでの長さを調整するのがロープです。

まだ明けきらぬ早暁の遠州灘、夏の時期に発生する濃霧で上が
っている太陽はまだ見えません。

ズルズルと片側350メートルものロープが動きはじめます。



 

漁徳丸 アマダイ刺し網曳き綱を下ろす

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夏はじまるこの時期、舞阪港の三枚刺し網で獲るアマダイ漁が
盛んとなる。
関西を中心に最近では関東でも高級料理魚として人気の美しい
アマダイの漁をする漁徳丸に乗せていただきました。

早暁、天竜川の冷たい水が遠州灘の温度の高い海に流れ出すと
海霧が発生する。
同じ漁をする舞阪港の僚船がしきりと無線で話しかけてきます。

「こちらは太陽が見えた」「明るさしか見えない」海霧は周囲
数マイルを覆い、時には明けはじめた空の光をさえぎってしま
うのです。



アマダイ漁の網は三枚刺し網、三重になり両側が荒い網、真ん
中が細かい網となり、魚は外側をすりぬけたら袋のように包ま
れてしまいます。
その450メートルもの網が投入され、それに続き曳き綱が片側
350メートル投げ入れられていきます。



網の片側づつに繋いだ長い綱は片側が投入終わればブイと旗ウ
キを浮かべます。
それを放し、また片側の網側に船を進め縄をつけて投入します。

常に片側の網についた綱を曳くようになります。



二隻で曳くならば片側を曳けばよいのですが一隻で曳くこの漁
は海底にオモリで沈み、丈夫が浮いて直線に広がった網を片側
づつ絞ってゆく曳き網漁です。



漁徳丸はまずは「一回目」と呼ばれる片側の端を折り曲げて曳
きはじめます。三回の曳きで最終的に楕円に絞り込むための最
初の曳きをはじめます。

霧が次第に晴れはじめ、1マイルほど隣で操業する僚船の姿が
ぼんやりと見えはじめています。



 

漁徳丸 アマダイ曳き綱を絞り込む

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「梅雨が明けて灘が(海の様子が)よくなったらアマダイ漁に
行こう」

南浜名湖あそび隊は弁天島の遊びだけでなく、舞阪港の漁師さ
んたちの漁を知りたくて常にねだっています。

同行させていただいたのは「漁徳丸のGOOD FELLOWS」でも
お馴染み漁徳丸のエージ船長です。



今回は天竜川沖6マイル(10.2キロほど)の漁場で行うアマダイ
漁は450メートルほどの三枚刺し網(三重になった網)を流し、
両端につけた長い綱を曳いて網を絞っていきます。

キャビンのGPSにマークされたのが網を絞ってゆく航跡です。
一回、二回、三回で左右の端を順に曳いて絵のような形から中
心に向けて網を縮めてゆくのです。



一隻で長く広がった網を丸く曳くことはできません。
両端に長く曳いた綱の先に浮かぶブイと旗ウキを拾っては片側
づつ丸い航跡で曳いてゆくのです。



海の底の450メートルの網、片側350メートルの綱におもりのチ
ェーンで曳く綱は張りつめています。
片側の旗ウキにつくたびに、キャビンから飛び出し旗ウキを拾
い曳き綱を船に付け替えてゆく。

「危なくないように下って!」

エージ船長の指示で退避しながらの撮影です。
普段はにこやかな海の男の仕事場、スピードと確実な漁具の扱
いの現場です。

3回の絞りで網は次第に中心に集まってきます。



 

漁徳丸 アマダイ漁 曳き綱を揚げる

カテゴリー │漁徳丸遠州灘アマダイ漁



「遠州灘沖にアマダイ漁に行こう!」

灘のよい(海が荒れていない)日にと天候海況を見て誘ってい
ただいたのは「漁徳丸のGOOD FELLOWS」で同じみのエージ
船長です。

漁のほとんどが日の出にスタートする操業となっていますが
目指す海域に到着し場所をとるならば午前2時に出港するのも
わかります。
無線で連絡をとりあう舞阪港の僚船はまたライバルでもあるの
です。



海に降ろした網の両側には網を曳く太い綱がついています。
広がった網の片側を曳けば網はL字型に引き寄せられます。
その綱にブイを旗ウキをつけて海に戻し、逆側を曳けば網は
C型に引き寄せられます。

最後にC型の口を最初の網の位置にかぶせれば網は〇となって
絞られてくる。三度の曳き綱が完結します。

そしてその曳き縄を片側づつ船に引き揚げていきます。
船の動力を借りながらも、太い綱を船首側デッキに丸めてゆ
くのは重労働です。縄にはオモリとなる太いチェーンもつな
がっています。



片側が終われば逆側の綱の引上げにかかります。
アマダイ漁では450メートルもの三枚刺し網は船尾に、片側
350メートルとチェーンは船首に用意されます。
これをきれいに巻くことで翌日の漁に備えるのです。



太く海水でさらに重くなった綱が全て回収され巻かれました。
漁の仕事は一日にあらず、明日のために回収は準備につなが
っています。

「いよいよ網を揚げるよ!」

エージ船長が船尾に向かいます。いよいよ近深海からアマダ
イが揚がってきます。
船長と共に「ニッ」と笑う。漁獲の時がはじまります。



 

漁徳丸 舞阪港の美魚 アマダイの海

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超早朝2時に舞阪港を出港して沖を目指した漁徳丸は日の出と
共に曳き綱、網を降ろしてアマダイを狙う。

アマダイ漁は350メートルもの太い曳き綱(つな)、85キロも
のおもりチェーンで450メートルの三枚刺し網を曳くという重
装備の漁です。

全ての曳き綱を船上に引き揚げればエージ船長は汗びっしょ
り、太い上に海水をたっぷり含んだ重い綱を明日の漁のため
にきれいに巻いていきます。汗、汗、汗の仕事です。

その苦労あっての水揚げがはじまります。



遠州灘を沖へ6マイル(10.2キロほど)の海は青く深く澄んで
います。底に広がったまま囲むように曳いた網があがってき
ます。
覗きこむ海中の網に目指すアマダイが揺れています。



網を巻く網巻き機をゆっくりと回し、かかったアマダイや魚
たちをはずしながら進めていきます。
これも均等に巻いてゆくよう工夫するのは明日も続く漁のた
め、プロは明日の段取りをしながら進めてゆくのです。



三枚刺し網は大きな目の外側2枚の間に細かい目の網が重なり
獲物を袋のようにしてとじこめます。
細かな網にからむようにしてアマダイはあがってきます。

それをカギではずしながら水揚げするのです。
網を破らずに魚を傷つけず、はずした魚を氷をいれたバケツ
に収めていきます。

舞阪の美魚、関西京都で愛され、塩焼きでもオリーブオイル
焼でもはんなりほこほことやさしい身を楽しませてくれるア
マダイはこうして獲られているのです。



 

漁徳丸 アマダイ漁の外道たち

カテゴリー │漁徳丸遠州灘アマダイ漁



遠州灘沖へ6マイルほど、そこは砂泥地の中深海にあたる深い
海の上、超早朝2時から漁場を目指し日の出と共に網や曳き綱
を降ろして網を曳く重装備の漁がアマダイ漁です。

漁徳丸のエージ船長が船尾から引き揚げる網を覗きながらの魚
はずしは続きます。

夏の早朝は近く流れ出す天竜川の冷たい水が海の暖かい海流に
触れて真っ白な海霧を生んでいます。
濃い場所では太陽も見えないほどの海は、網揚げの時になって
急速に回復し、船の上は灼熱の太陽が照ってきました。



海を覗き網に美しいアマダイが揚がってくれば漁はのしますが
アマダイだけでなくさまざまな魚もかかってくるのがこの漁、
売れる魚も売れない魚も混ざり網はあがってきます。



ウチワエビです。これはロブスターにも似た大きな身をもつ
舞阪の高級エビ、珍しいかたちをしていますが、胴と尾を鳴ら
してパチパチと元気よく威嚇する。
まわりのトゲトゲは鋭く、素手ではつかみずらいほどの強さを
持っています。

「はい」と手渡されたエビが跳ねて足元に落ちる。
靴にトゲがささり、その鋭いトゲが靴に残るほどの鋭さを持っ
ていました。



アンコウです。弁天小僧など深海魚好きにはたまらない深海の
キングは鋭い歯を持つ顔を「グワッ」とあけている。
緑の目は上につき、深海から上を見上げて小魚などを捕食する
のでしょう。

漁徳丸のエージ船長は対象魚以外は、網からはずせばポンと
放って海に帰している。
大きなアンコウもまた深い海の底に戻っていきました。

この時期の船上は灼熱の太陽に照らされています。毎日同じ重
装備と重労働の成果が美しいアマダイたち。
これからはアマダイをいただく時、この漁の厳しさを思い出し
ていただくことにしましょう。

エージ船長の許可をいただいて撮影協力として「遠州灘のお魚
さん
」としてカテゴリー化して紹介しています。



 

漁徳丸 アマダイで桃色に染まる

カテゴリー │漁徳丸遠州灘アマダイ漁



超早朝2時に舞阪港を出漁して帰着は9時半頃、7時間半もの
漁を行うアマダイ漁、海が荒れなければ毎日続けること、さ
らに戻った後も網を手入れする仕事が待っています。

漁徳丸のエージ船長に同行し遠州灘沖のアマダイの海で朝を
迎えその仕事を知ること、舞阪港の美魚アマダイを知ること
でまた南浜名湖から見る海を知ることになるのです。



三枚刺し網に巻かれてあがるアマダイはこれほどまでに網に
絡んでいます。
これを網目一本づつ魚からはずして漁となる。
それを揺れる灼熱の船上で続けて水揚げとなるのです。



水深100メートル以上の砂泥地にかたまって棲むアマダイは
砂に巣穴を掘って棲んでいます。
そこに網がかかり、網を曳く根綱(ねづな)という太い綱が
底をひきづってアマダイたちを追いたてます。
そしてこの網にかかるのがアマダイ漁です。



網にかかるアマダイの大きさはさまざま、一匹づつ積み上げ
て氷をいれつつ詰めるバケツが満杯となる。
船中は美しい桃色の魚の光が溢れていきます。

遠く陸(おか)が見えています。浜松や浜名湖の沖でこの漁
は続けられています。



 

漁徳丸 アマダイ漁から帰還する

カテゴリー │漁徳丸遠州灘アマダイ漁



お願いして載せてもらい、ただ写真を撮り漁の話しを聞いて
いるだけなのに朝9時の遠州灘沖で疲れを感じている。

超早朝2時に舞阪港を出て7時間余り、レーダーでしか見えな
い周囲に注意して航行し、今までの漁データを見て朝の漁場
を決め、まわりに集まってくる僚船と無線でコミュニケーシ
ョンしながら安全な操業をはじめること。

前日に整えた漁具をほどき、曳き綱(つな)と網で1.2キロも
の長さを海に投入しまた全て回収する漁は予想以上にハード
で揺れる船の上で働くことを知るのです。



カッパ(漁業用のサロペットズボン)を抜けば汗びっしょり
エージ船長が戻り、「さあ!帰ろう」と船のスロットルを
あげる。

見ているだけの自分でさえうれしい完結と帰港の時間です。



海は広くも漁場は限られている。守るべき海域もあり、仲間
とのよきライバル心を燃やして狙うより早い到着もある。

漁とはとても水物です。多く採れれば時に浜値は下がる場合
もあります。大きさや揃いという要素もあります。
思わぬ狙い以外の高級魚がかかることもあります。

全ては帰港してかけるセリにかかっています。



沖から戻れば遠州灘の沿岸に二艘曳きの網を曳くシロコ船
(シラス漁船)が東西に行くのが見えてきます。
その向こうに浜名大橋や今切が見えてきます。

明日はアマダイ漁完結編、帰港と明日への準備です。



 

漁徳丸 アマダイ漁明日への準備

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「さあ!帰ろう」

遠州灘沖6マイルで操業したアマダイ漁を終えて漁徳丸のエージ
船長
は今切、舞阪港を目指します。
凪いだ海は静か、珍しく静かな今切の赤い灯台まで戻ります。

普段は弁天島から遠望する今切口の向こうの赤い灯台は海への
出口、浜名湖の入口を現しています。



漁徳丸は帰港前に舞阪港の問屋(水揚げ場・セリ場)に寄り、
水揚げしたアマダイを降ろします。
浜名漁協の職員さんがカギフックで摘み降ろしを手伝ってく
れ無事に水揚げが終了しました。



船の付け場に戻った漁徳丸はこれで仕事が終わりではありま
せん。船尾に巻いた網を帰港途中にほどいたものを、奥さんの
手を借りて着け場にあげていきます。
そして網についた小さな雑魚やヒトデ、カニ、ヤドカリなど
をはずしていきます。

きれいになった網はまた船尾にきれいにたたまれていきます。
明日の漁のために欠かせない帰港後の作業です。



港にはそれを待っているカワウたちがいます。
網からはずされた小さな魚が放られると、潜ってはその魚を
食べています。

えんばいとは漁師さんが自分やご近所が食べる分自家消費の
こと、これをふるまうのも「えんばい」と言います。

魚をえんばいしていただきました。カワウたちも小さな魚を
たっぷりとえんばいしてもらいました。
朝2時から7時間半のアマダイ漁同行記が終わりました。

漁徳丸のエージ船長、同行させていただき感謝いたします。

※そして4日後、エージ船長がさらに沖の深海漁手長エビ漁
に行くと聞く。もちろん同行した弁天小僧、新たな海へ出発
します。