浜名湖にミズダコ 海のタコ泳ぐ不思議

カテゴリー │一枚の産地景色から



南浜名湖は海の産地、全国でも珍しい海につながる浜名湖は、潮の干満を利用して海の魚たちが行き来する、海ともいえる湖です。

浜名湖の幸を水揚げする雄踏(ゆうとう)港市場の朝の競りをほぼ毎日見学していれば、漁師さんに声をかけていただけます。

「おい、このタコはなんていうんだい」

このタコは胴(頭にみえるところ)がまだらになっています。マダコとは違うタコが獲れて漁師さんも戸惑っています。

詳しい方によればこれはミズダコ、遠州灘に網曳く舞阪港では珍しくはない海のタコです。

浜名湖はマダコの産地、浜名湖のタコたちはガザミ(ワタリガニ)やサイマキ(クルマエビ)を食べて育つグルメタコ。
浜名湖のマダコが美味いといわれるのは、じつに人よりうまいものを食べているからです。

その同じ海にミズダコも棲んでいる。
深い海に棲み、育てば1メートルにも達するというミズダコが浜名湖に棲む。
舞阪でもそんな大きなものは見ることができませんが、海につながる浜名湖の実力のひとつです。

もしも浜名湖の豊富なエサを食べてミズダコが育ったら、浜名湖で巨大なタコを見ることがあるでしょうか。

※取材協力:浜名漁協雄踏支所 雄踏港の漁師さん
雄踏港市場のお魚さん
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浜名湖カワウ 魚は頭から呑みこむもの

カテゴリー │一枚の産地景色から



南浜名湖は海の産地、遠州灘の幸は舞阪港・新居港に、浜名湖の幸は雄踏港・鷲津港などに水揚げされていますが、鳥の漁師さんカワウたちもその漁に加わっています。

浜名湖の冬鳥であるカワウは冬には数千羽という群れとなり、遠州灘沿岸、浜名湖で漁をしています。
一日に数kgもの魚を食べるといわれるカワウがやってくることは、南浜名湖の豊かさをあらわしています。

雄踏港にこの季節にやってくるカワウは通年で棲み着いているカワウたち、潜っては魚を穫っています。



カワウたちは潜って魚を追い、まずは水面まで魚をくわえてあがってきます。
そしてクチバシで器用に魚をくわえなおし、頭から呑みこみます。

魚のヒレは後ろ向きについていますから、逆に呑みこめば喉につかえてしまうのです。

港で観察すれば、カワウはヒレが鋭いもの、トゲがあるものなどを避け、食べやすい魚を追っています。
時に大きな魚を捕らえれば、仲間がやってきて奪いあいにもなる。

秋深まれば群れて飛び、群れて瀬で羽を休める大群となるカワウがやってきます。

※取材協力:浜名漁協雄踏支所
雄踏港市場のお魚さん
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浜名湖漁師さん カニのツメを切る風景

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南浜名湖は海の産地、夏から続く浜名湖の幸といえばワタリガニ。浜名湖はガザミ(ササガニ)・タイワンガザミ・イシガニなどが獲れるワタリガニの宝庫として知られています。

浜名漁協雄踏支所の競りはほぼ7時20分頃から、市場を見るだけならばこの時間に到着すれば充分ですが、少し早めに市場裏の着け場にいけば漁師さんの水揚げ風景を見ることができるのです。

雄踏の漁師山下さんがワタリガニを水揚げしています。



漁師さんの船にはカンコウと呼ばれる生簀があり、浜名湖伝統の定置網「角立て網(かくだてあみ)」で獲った魚、カニ、エビなどを入れ、活かしたまま運んできます。

山下さんはダモと呼ばれる小さなタモ網でワタリガニをすくい、掴みます。



浜名漁協の各港、遠州灘のワタリガニが水揚げされる舞阪港、浜名湖のワタリガニを水揚げする雄踏(ゆうとう)港・鷲津港などでは、市場以降の流通で怪我がないよう、ワタリガニ類のツメを切り取って市場に水揚げが決められています。

山下さんはワタリガニのツメの下側をパチンパチンと切り取っていきます。

ひと手間かけて安全を図る浜名湖、舞阪のカニ。ツメの片側が切られていたら浜名漁協のカニだと思い出してください。

※取材協力:浜名漁協雄踏支所 雄踏漁師山下さん
雄踏港市場のお魚さん
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舞阪港刺し網漁 ガニの競り

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南浜名湖は海の産地、遠州灘に網曳く舞阪港は早朝に出漁した船が午前遅い時間から凱旋をはじめます。

この季節の主役は活アジやタチウオを水揚げするタチアジ漁、活アジの活きの良さを保つスピード競りが続きますが、船と船の到着の間、午後からは沿岸の刺し網の競りがはじまります。

刺し網漁とは遠州灘の岸沿いに前日午後網を長く仕掛け、潮の干満で移動したカニやヒラメ、マゴチなどを獲る漁です。

「やってよう!」と市場の隅々まで響く声は浜名漁協の札読み國部さんの声、刺し網の競りに仲買さんたちが集まります。

「はい金治丸五番ね」、國部さんが獲った漁師さんの名と競りの数を告げています。
ボウラ(水揚げ用の籠)に入っているのは舞阪でガニと呼ばれるガザミ(ササガニ=ワタリガニ)です。

ガザミは浜名湖と遠州灘を行き来して育ち、大きく育った浜名湖のガニは遠州灘に出るとさらに大きくなり、刺し網で獲られます。
舞阪のカニの大きさは特別なもの、さて一人で食べきれるかというサイズを見ることができます。

写真奥から1番、仲買さんの競り札には1~5番の番号が書かれており、そこに入札金額を書き、裏に屋号をサインして國部さんに渡します。
仲買さんがつける金額はKg単位の値、そのために漁師さんは先に計量し、計量札を入れてあるのです。

毎日競り場で競いあう仲買さん同士、笑顔の中にも確実に注文を受けたカニを手にいれなければなりません。
それでも時には札を受け取った國部さんが「ハイッ!」とかけ声のもとに扇に開いた札には事件が起ります。

「一番から五番まで遠し、〇〇ね!」、一社が独占することもあるのです。

さて、次の刺し網漁師さんが籠を運んできます。次は勝つぞと仲買さんが目利きをはじめます。

※取材協力:浜名漁協
舞阪港のお魚さん
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