遠州灘トラフグ漁の海へ!

カテゴリー │漁徳丸遠州灘トラフグ漁



10月に解禁となった遠州灘のトラフグ漁、これから旬を迎える
舞阪港のご馳走魚です。
冬の浜名湖にお出掛けの方なら「トラフグ」は欠かせませんね!

舞阪港に水揚げされるトラフグ漁は「底はえ縄漁」の許可を受け
た船37艘、その他に「手じ」と呼ばれる手釣りのフグ漁の漁師さ
んが遠州灘広く操業しています。

「トラフグの海へ行きたい!」とお願いしていたところ、漁徳丸
のエージ船長に許可をいただき乗船させていただきました。

昨日から波も収まり11月末としてはおだやかで暖かい海へ向かう
同行記を書いていきますが、見事なトラフグを吊り上げたエージ
船長の写真で第一報です。



トラフグ漁は朝5時からはじまります。
「安全な日に」と配慮いただいたおだやかな海へ向かいます。
舞阪港を出港して、陸(おか)が見える5マイルほどの沖で漁徳丸
は操業をはじめました。

舞阪港の漁はほとんどが「日の出操業」です。まだ暗いうちに海
に出て漁場に到着し、日の出と共に漁がはじまります。
美しい夜明けの海で海の空気を胸いっぱいに吸ってはじまります。

明日から「遠州灘トラフグ漁の海へ!」を書いていきます。

※取材協力:漁徳丸




 

舞阪港 早朝5時からはじまるトラフグ漁

カテゴリー │漁徳丸遠州灘トラフグ漁



冬の浜名湖のご馳走と言えばもうお馴染み、舞阪港のトラフグで
す。舞阪や雄踏、村櫛などの許可を得た漁師さんが「底はえ縄漁」
や「手じ(手釣り)」で獲る遠州灘のご馳走魚です。

底はえ縄漁に参加する漁師さんは、早朝5時に舞阪港の購買裏にあ
る部屋に集まります。



この朝(11/23)は17人(艘)の漁師さんが集まりました。
ここに集まり、漁場の場所をクジで決めるのです。
ここは部外者は入れませんが、様子を撮らせていただきました。



トラフグ漁の漁場は遠州灘を大きく東西に五つに分けています。
よい(漁果が出ている)場所を公平にとれるよう、箱に入ってい
るピンポン玉をとります。場所決めの優先順位のナンバーが書か
れています。



同じ枠でも陸(おか)に近い海域、沖とさまざまですから岸から
の中心距離を決め、順に操業場所を決めてゆくのです。

場所が決まれば漁師さんは船に乗り、トラフグを求めて遠州灘広
く出漁していきます。

※取材協力:浜名漁協



 

舞阪港出航 トラフグ漁の海へ

カテゴリー │漁徳丸遠州灘トラフグ漁



トラフグ漁の僚船たちとくじ引きで漁場を決めてすぐに漁徳丸は
舞阪港の着場(つけば=船の係留場所)を離れる。
ディーゼルエンジンがうなり、真っ暗な海に向かう。
浜名湖内にある舞阪港から浜名湖が海に繋がるわずか200メートル
の海峡、今切は目の前である。

僚船たちも夜間航行のための航行灯をつけそれぞれの着場を離れ
て今切を目指している。

「揺れるから座っていて」エージ船長の注意は今切通過の手前、
浜名湖と海を結ぶ狭い海峡「今切」は潮の流れが速く、漁師さん
にとっても緊張する海域である。



今切の長い堤防の先の赤灯台を越えれば遠州灘、弁天島からも
望めるこの赤灯台の明かりは5秒に2度点滅し、浜名湖の入出口を
知らせている。

キャビンでは船長が肉眼とレーダーを使って周囲の僚船を監視
する。さらにGPSを使って今朝の漁場へ向かう。
「今日は久しぶりにおだやかだよ」と漁への期待をこめて船長
が言う。11月後半、これからは海が荒れやすく、うねりと波の
中で操業することとなる。男の漁場である。

漁徳丸は漁によって装備を変えながら年間の操業をする。
夏のアマダイ、手長海老漁では船尾のこの位置に三枚刺し網と
巻き上げ機があった。
この時期は船尾にトラフグ漁の底延縄(そこはえなわ)がはい
った「マンパチ(丸い鉢だからか)」16箱並んでいる。



漁場を決めても現地で左右に並ぶ僚船と絶え間なく無線で調整
をする。潮の方向を見極め、東から西へ、もしくは西から東へ
延縄を降ろすかを検討する。

潮の方向は毎日違い、網やはえ縄を降ろす方向が漁を左右する。
「今朝は上り(のぼり)潮だね」と船長が言う。

上り潮とは東から西へ向かう潮だと教えていただく。
現在なら上りは東を表すが、漁師さんの世界では旧い時代どお
り、京を上と見る。つまり西への潮だと知る。
こんな漁師さんの世界、言葉を一つひとつ知ることが同行させ
ていただく喜びとなる。

日の出待ち、舞阪港の多くの漁と同じく、準備を整えて日の出
を待つ、トラフグ漁も「日の出操業」となっている。

※取材協力:漁徳丸




 

舞阪港トラフグ漁 等深線上に延縄を入れる

カテゴリー │漁徳丸遠州灘トラフグ漁



まだ暗い舞阪港を出港して遠州灘の沖で操業するトラフグ漁
には僚船と共に守るルールがあります。

漁場には水揚げ実績のある海域がありますから漁場は早朝5時
にくじ引きをして各船の操業する海域を決めています。
さらに5kmもの底はえ縄を入れるには決められた海域にまっす
ぐに入れる必要があります。

底はえ縄は船尾から船をスローで走らせながら海に入れてい
きます。



漁徳丸のエージ船長は底はえ縄を入れながらキャビンの魚探
の深度計を何度も振り返ります。

海は沖へ行くほど深さが深くなります。無線で取り決める各
船の操業場所はこの深さに沿ってゆくのです。
山に等高線があるように、海には等深線(とうしんせん)が
あります。

船を足元まで伸ばしたリモコンで操作して底はえ縄をこの深
さの等深線上に入れてゆくのです。

ちなみにこの深さの表示はメートル表示ではなく「ヒロ」と
いう漁師さんが使う深さの尺度です。

「78ヒロでやるよ」と僚船と連絡をとりはじめるのです。

※取材協力:漁徳丸



 

舞阪港トラフグ漁 底はえ縄を降ろす

カテゴリー │漁徳丸遠州灘トラフグ漁



本格的な冬を前に旬を迎えた舞阪港のトラフグ漁に同行する。
乗船させていただいたのは、夏のアマダイ・手長海老漁などと
同様にエージ船長の漁徳丸である。

午前5時の漁場決めのくじ引きを終え、夜明け前の遠州灘を出
航した漁徳丸はこの日、舞阪沖5.7マイルほどの沖の漁場に到
着する。陸(おか)が見えるほどの沖である。

日の出操業と定められているトラフグ漁は役員の船から無線で
指示があり一斉にはえ縄を降ろしてゆく。

船尾にははえ縄をいれたマンパチのほかに丸めた細い縄や船を
操縦するリモコンなどが並ぶ。
取材中に足元の縄に触らぬよう注意される。



はえ縄を仕掛けたことを知らせる「旗ウキ」が投げ込まれる。
これに写真の小さなアンカーがつき、底まではえ縄を降ろして
ゆく。

トラフグ漁は「底延縄(そこはえなわ)漁」と言い、多くの針
に餌をつけた縄は海底をはう。
はえ縄が底に降りる前、後にトラフグはこの餌を食い、釣られ
ることとなる。



蓋をあけられたマンパチ(餌をつけたはえ縄を収める容器)を
からはえ縄を繰り出して行く。
長い本縄にほぼ8メートルピッチでテンビンという針に餌がつい
た仕掛けがついている。
これを船をゆっくり進めながら降ろしてゆくのです。

漁徳丸が底はえ縄につける餌は塩漬けの小アジ、じつにマンパ
チ8つにつながるその針と餌は600にも及びます。
前日に丁寧に準備した仕掛けが降りてゆくのです。

※取材協力:漁徳丸



 

遠州灘トラフグ漁 5kmの底はえ縄

カテゴリー │漁徳丸遠州灘トラフグ漁



舞阪港のトラフグ漁は、11/23日17艘の出漁となりました。
朝5時に漁場を決めるくじ引き後、沖の漁場に着いた各船は日の
出と共に底延縄(そこはえなわ)を降ろしはじめます。

舞阪港のトラフグ漁で使う底はえ縄はほぼ5kmもの長さを持って
います。取材同行させていただいたエージ船長の漁徳丸も8mほ
どごとにテンビンでつけた仕掛けを丹念に降ろしていきます。
この間、船をスローで進めながらの作業です。

トラフグ漁のはえ縄はマンパチと呼ばれる容器にこのように収
まっています。



前日に600本もの仕掛けの針に餌の塩づけ小アジをつけて準備し
ます。船を動かしながらこれをテンポよく降ろしてゆく作業だ
けでも時間がかかります。
この餌にトラフグよ食いつけと祈りながらの投入です。



最初に一本、5kmの中間と最後に仕掛けの先に底までの縄でアン
カーを沈めた旗ウキを降ろします。
この時点で底延縄の投入が終わります。



上手に説明できませんので概略図を作ってみました。
旗ウキが三箇所に、旗ウキの下には底まで届くアンカーがあり、
海底をはう縄があり、そこに600本もの餌をつけた仕掛けがつい
ています。

投入を終えた漁徳丸は最初の旗ウキを目指して戻ります。
いよいよはえ縄を揚げるのです。

※取材協力:漁徳丸



 

遠州灘トラフグ漁 アオザメの海

カテゴリー │漁徳丸遠州灘トラフグ漁



南浜名湖舞阪港から出漁するトラフグ漁は遠州灘の冬の風物詩と
なっています。
10月から来年の2月末まで、舞阪港はトラフグの水揚げで活性が
あがります。

毎日お届けしています「漁徳丸 遠州灘トラフグ漁の海へ!」
の特別編は、昨日の水揚げの中にこの魚があったことでした。

「アオザメ」です。

トラフグの底はえ縄にはさまざまな魚がかかってきますが、漁徳
丸のエージ船長が昨日見せてくれたのはなんとアオザメでした。
もう死んでいましたが、その名のとおり「青褪め」るほどの姿を
していました。



アオザメは私たちが恐怖するサメそのものの形をしています。
尖った鼻先、凶暴な牙、並んだ大きなエラ、海に飛び出す大きな
背ビレと長い尾ビレ。

トラフグを揚げるはえ縄にこんなサメが揚がってきたらと思えば
まさに青褪める思いです。
怖いながらも突っついてしまう素人は、やはり海の危険さを再認
識したのでした。

※取材協力:漁徳丸



 

遠州灘トラフグ漁 はえ縄揚げの準備

カテゴリー │漁徳丸遠州灘トラフグ漁



遠州灘でトラフグが獲れる。北九州や山口県などの特産とされて
いたトラフグが遠州灘で獲られはじめ、今や冬の浜名湖を訪れる
楽しみともなったトラフグ料理は、舞阪港のある南浜名湖で水揚
げされています。



舞阪港のトラフグは漁10月にシーズンがはじまり翌年の2月末まで、
底はえ縄漁で行われます。
早朝5時に漁場のくじ引きが行われた後漁場に着いたフグ量の許可
船は5kmもの底はえ縄に600本もの餌をつけ遠州灘に投入するのです。

いよいよ降ろした底はえ縄がついた旗ウキを揚げて水揚げをはじ
めます。



船尾から降ろした底はえ縄は船首のデッキ左(写真右手前)にあ
る巻き上げ機で行います。
6:30の日の出と共にゆっくりと降ろした底はえ縄をあげるこの時
間は既に7:20分になっています。

さきほどまで仕掛けが入っていたマンパチを船首の巻上げ機まで
運び、ここに仕掛けを戻しながらゆっくりと底はえ縄を引き上げ
ていきます。
底からついてきたフグや魚を落とさぬようゆっくりと船を進め、
(操縦はこの位置まで引いたリモコンで操縦)はえ縄揚げをその
スピードにシンクロさせます。

この海からトラフグが揚がってくるよう祈りながらの作業です。
潮の影響や海水温などさまざまな要素で近年トラフグの水揚げは
減っていますが、丁寧な作業で取り落としがないように漁師さん
は作業するのです。

※取材協力:漁徳丸



 

遠州灘トラフグ漁 はえ縄を揚げる

カテゴリー │漁徳丸遠州灘トラフグ漁



遠州灘のトラフグ漁の実際を見てみたい!

弁天島を拠点に南浜名湖のさまざまを紹介したいと活動する「南
浜名湖あそび隊」は目の前に臨む今切を通って広く遠州灘で操業
する旬のトラフグ漁の船を見ています。
そしてとうとう漁徳丸のエージ船長の船に同行を許可いただきま
した。

まだ暗い海に出漁した漁徳丸は5kmもの底はえ縄を降ろし、いよい
よトラフグがかかっていることを期待して縄を揚げていきます。

「ギンアナゴ」です。トラフグ漁の針にはさまざまな魚が外道と
してついてきます。夏の漁でも見せていただきましたが、水揚げ
外の魚がかかれば船長は海に帰します。
「どんな魚でも海の生態系に貢献しているんだからね」



「トラフグ」です。

夏の海の色とは違う墨黒の海に青白いきらめきが揚がってくるの
が見えます。600本もの餌をかけても数本しか揚がらないのがトラ
フグ漁です。待ちに待ったトラフグです。



トラフグは700gから漁の対象になりますが、大きなものでは5㎏を
越えるものもある大型のフグです。
引き揚げると同時にフグですから腹を大きくふくらめていきます。



まずはデッキにある流海水のケースに入れられます。
フグは膨らんだ腹を上にしてしまいますが、ここに入れることに
よって落ち着きます。トラフグはバシャバシャと泳ぎ、活きのま
ま舞阪港へ運ばれるのです。

※取材協力:漁徳丸



 

遠州灘トラフグ漁 アマダイ揚がる海

カテゴリー │漁徳丸遠州灘トラフグ漁



早暁に舞阪港を出漁したトラフグ漁船「漁徳丸」はご存知エージ
船長の船、延長5キロにも及ぶ底はえ縄を巻き上げ機でゆっくり
揚げていきます。

5キロの間に600本ものハリが付き、トラフグを主にさまざまな
魚が底から揚がってきます。



「アマが来たよ」、海から舞阪の美女が揚がります。
この魚の美しさは格別のもの、見た目も食べてもおいしい魚に
忙しく魚を取り込むエージ船長にも笑みがこぼれます。

美女釣りあげたり!の笑顔です。



底はえ縄というとおり、600本のハリは海底の砂に這っています。
その海にはさまざまな魚が棲み、餌の小アジに食いつきます。
次はフグ!と思いましたら、これはトラフグではありません。



これは通称「ミズフグ」、別にもミズフグと呼ばれているものが
ありますが、まん丸に膨れた面白いフグです。
これは漁の対象となりませんが、フグ提灯のように膨らみます。

「口に気をつけて!」

船長が言うようにフグは鋭い歯を持っています。これに噛まれた
ら指など簡単に切れてしまうそうです。

漁徳丸のフグの水揚げは続きます。

※取材協力:漁徳丸