舞阪港 エイと見間違えるカスザメはインバネスとも呼ばれる

カテゴリー │舞阪・浜名湖魚図鑑



南浜名湖は海の産地、全国でも珍しい海につながる浜名湖の最南端の今切から遠州灘に出漁する舞阪港の漁師さんがさまざまな海の幸を水揚げしています。

その中には珍しい魚が混ざります。

幅広く平たい形に四枚のヒレでエイのようにも見えるこの魚はサメの仲間、カスザメです。
この魚は時にインバネスと呼ばれます。



明治時代に流行したこのコートがインバネス、ケープがついた袖なしの外套にカスザメが似ているからだそうですが、もうこんなコートは見かけませんから当時からずっと通称として呼ばれていたのかもしれません。



市場で取引されることはないようですが形が珍しいため、市場に揚げて珍しがられている魚です。

wikiによればサメの仲間は世界中に9目34科105属509種が存在し、日本近海には9目32科64属130種が確認されているといいます。
サメと聞けば危険な魚を想像しますが、形が生態が面白いものが多く興味がつきませんね。

※取材協力:浜名漁場 舞阪港の漁師さん
舞阪・浜名湖魚図鑑
舞阪港のお魚さん




 

浜名湖マハゼ ハゼのオスメスは顔で見分ける

カテゴリー │舞阪・浜名湖魚図鑑



南浜名湖は海の産地、全国でも珍しい海につながる浜名湖は潮の干満を利用して海の魚が行き来し育つ、海ともいえる湖です。

浜名湖の秋の風物詩のひとつにどの岸からどの日だまりの防波堤からも竿を出すハゼ釣りがあります。

風がこないポカポカな土手に陣取ってハゼと戯れ、帰ったらおいしい天ぷらを楽しむ浜名湖の楽しみのひとつです。



盛んなハゼ釣りも冬の訪れと共に釣れなくなるのはハゼたちは深みに移動するからです。

釣れなくなれば今度は浜名湖伝統の小型定置網に入るようになるハゼが雄踏(ゆうとう)港市場に揚がりはじめます。

育ち大きくなったハゼは刺身でアライで楽しまれ、中型は天ぷらで小さなものは浜名湖名物の佃煮用として名店に卸されていきます。

ハゼにもオスとメスがありますが、その見分け方を漁師さんに教えていただきました。

鼻先が丸いのがメス、鼻先が平らでゴツイのがオスだそう、教えてもらえばハゼを見る時にオスだメスだという楽しみが加わります。 

浜名湖のハゼの水揚げは伝統漁の漁期、来年の1月半ばまで続きます。

※取材協力:浜名漁協雄踏支所 雄踏港の漁師さん
舞阪・浜名湖魚図鑑
雄踏港市場のお魚さん




 

舞阪港内の珍客 トビウオ泳ぐ港

カテゴリー │舞阪・浜名湖魚図鑑



南浜名湖は海の産地、全国でも珍しい海につながる浜名湖は潮の干満を利用して海の魚が行き来し育つ、海ともいえる湖です。

舞阪港から漁師さんに船で沖の漁に連れていっていただくと、陸に近い潮はやや濁っていますがさらに沖に行けば匂いまで違う海域に達します。

潮を切り裂いて沖へ向かう船に驚き船と並行し追い抜いてトビウオが飛べば美しい潮に至ったことを知るのです。

ある日美しい潮の子であるトビウオを舞阪港内で見つけました。
三尾が寄り添うように岸からも近いところを泳いでいます。



トビウオは台風や大風など沖の荒れがが有るときに岸に近く逃げてくることがあります。

遠州灘沖のトビウオたちはさらに安全な浜名湖に泳ぎ入り、港に逃げ込んで嵐の荒れをやり過ごす。
沖がおさまればまた美しい潮を目指してゆくのでしょう。

滅多に見られない珍しいトビウオの美しい泳ぎを見ることができました。

※取材協力:浜名漁協 
舞阪・浜名湖魚図鑑
舞阪港のお魚さん




 

舞阪港トラフグ漁の外道は美しい黄緑のサバフグ

カテゴリー │舞阪・浜名湖魚図鑑



南浜名湖は海の産地、浜名湖の最南端の舞阪は10月から翌年2月末までが冬漁のトラフグ漁の季節、全国が期待する「遠州灘天然とらふぐ」とも呼ばれるブランドフグが水揚げされています。

延長5kmにもなる底はえ縄漁を沈め、トラフグを釣り揚げる漁にはさまざまな外道(狙いではない魚のこと)、としてホウボウやハタなど、時にシラカワ(シロアマダイ)など高級魚がかかることがあります。

その一つが黄緑色に輝く美しい魚、サバフグです。



トラフグはもちろん、サバフグなどフグの仲間は毒がありますのでフグ料理のプロ・流通のプロしか扱うことはできません。

サバフグも同じ毒を持ちますからプロの料理人さんの手で調理されたものを楽しみます。

フグの仲間の姿や模様は美しいものですが、サバフグの黄緑色はその中でも美しいもののひとつです。

※取材協力:浜名漁協 舞阪港の漁師さん
舞阪・浜名湖魚図鑑
舞阪港のお魚さん



 

浜名湖 落ちアユを追って下るアユカケ

カテゴリー │舞阪・浜名湖魚図鑑



南浜名湖は海の産地、全国でも珍しい海につながる浜名湖は潮の干満を利用して海の魚が行き来し育つ、海ともいえる湖です。

浜名湖に流れこむ川は多く、海と川を行き来する魚にとって浜名湖の秋はくだるべき海となります。
春に浜名湖から川に遡上したアユたちは育ち、秋に浜名湖に下ってきます。

それを追って浜名湖に下るのが頭が巨大なアユカケ(カマキリ)です。



アユカケはその不思議な名のとおり、大きな口の後ろのエラあたりにある棘(とげ)でアユをひっかけて食べるといわれます。

大きな口を持つ大きな頭、時としてその口の中は真っ赤というものすごさ、肉食魚らしい魚です。

風が吹けば魚が下る、浜名湖に注ぐ川筋から下ってくる魚に混じりこの時期にアユカケはやってきます。

アユをかけるほか、カマキリなどと恐ろしい名前でも呼ばれています。

※取材協力:浜名漁協雄踏支所 雄踏港の漁師さん
舞阪・浜名湖魚図鑑
雄踏港市場のお魚さん



 

舞阪港の老いたアメリカザリガニ オキナエビ

カテゴリー │舞阪・浜名湖魚図鑑



南浜名湖は海の産地、全国でも珍しい海につながる浜名湖の最南端の舞阪の漁師さんは、今切を越えて遠州灘に網を曳いています。

陸(おか)から見れば水平線辺りの200mもの深海に網を曳く底曳き漁の網に珍しいエビがかかることがあります。

ひと目みるとまるでアメリカザリガニのように見えるオキナエビです。



全身が白い毛で被われていること、深海に棲むために目が退化していることからオキナ(翁)の名をもっています。

オキナエビはまとまって水揚げされることもないため、市場では雑魚として扱われますが、市場ファンの中ではザリガニのようだと人気のあるエビ、食べたらおいしいそうですがまだ食べたことはありません。

どちらが似ているのでしょう。アメリカザリガニは第二次大戦後の食料事情から食用といて輸入育てられたウシガエル(食用ガエル)のエサとして輸入育てられていたものが大水で逃げて全国で繁殖したものだそうです。

田んぼにも水路にも見かけなくなったザリガニ、その親戚のようなオキナエビは遠州灘の沖の深い海の底に静かに棲んでいます。

※取材協力:浜名漁協 舞阪港共榮丸
舞阪・浜名湖魚図鑑
舞阪港のお魚さん
共榮丸一艘曳き底曳き漁




 

お鼻がかわいい浜名湖のガメラ スッポン

カテゴリー │舞阪・浜名湖魚図鑑



南浜名湖は海の産地、全国でも珍しい海につながる浜名湖は潮の干満を利用して海の生き物が行き来し育つ、海ともいえる湖です。

浜名湖の幸が水揚げされる雄踏(ゆうとう)港市場にしばしばスッポンが水揚げされ知らぬ人を驚かせます。

じつは浜名湖舞阪には全国に誇るスッポンを育てる服部中村養鼈場(はっとりなかむらようべつじょう)がありますが、その池から台風や大雨の日に逃げるスッポンがあり、養鼈場まわりの浜名湖に棲みついているといいます。



養鼈場のスッポンは2年ほどで出荷されるため20センチほどの大きさですが、浜名湖に逃げ込んだスッポンは時に50センチを越えるような大物に育ちます。

浜名湖の岸辺の水中に潜み長く首を伸ばして呼吸する、スッポンは魚や両生類、甲殻類や貝まで食べる雑食といいますからエサが豊富な浜名湖で大きく育ちます。



時に漁師さんも驚くほどの大物が揚がるスッポン、「噛みつかれたら雷が鳴るまで離さない」などと言われ恐ろしく感じますが、実際には水に浸ければ離すそうです。

浜名湖には養殖以外の大スッポンも育っているのです。

※取材協力:浜名漁協雄踏支所 雄踏港の漁師さん
舞阪・浜名湖魚図鑑
雄踏港市場のお魚さん




 

浜名湖の冬ガニは上海ガニの親戚 モクズガニ 

カテゴリー │舞阪・浜名湖魚図鑑



南浜名湖は海の産地、全国でも珍しい海につながる浜名湖は、潮の干満を利用して海の魚や生き物が行き来し育つ、海ともいえる湖です。

浜名湖は初夏からワタリガニをはじめ多くのカニが水揚げされる海、カニ類登場の最後を飾るのはモクズガニです。

モクズガニは各地の河口に近い汽水域を好むカニ、浜名湖に流れこむ川の流域の定置網に入ります。



全国各地で冬の幸として楽しまれるモクズガニはズガニとも呼ばれています。

ご覧のようにハサミ脚に藻屑のように見える毛を密生させていることからモクズガニ、中国の上海ガニとは近似種です。

漁でも獲れていますが河口に近い岸に葦(ヨシ)など生えていましたらその中で簡単に見つかりますが逃げ足が速く、容易に獲れるものではありません。



全国のズガニ料理はよく洗ったカニを甲羅のまますり潰すもの、それを漉しては漉し、汁に使えばズガニのエキスが浮かぶ汁になる。

浜名湖では広く食べる習慣がなく、安価で取引されるカニのひとつです。

浜名湖の市場もそろそろハゼの季節、12月からは冬漁となる浜名湖に冬の体を温める幸が水揚げされています。

※取材協力:浜名漁協雄踏支所 雄踏港の漁師さん
舞阪・浜名湖魚図鑑
雄踏港市場のお魚さん




 

舞阪港 歯があるクロムツ ノドグロはアカムツ

カテゴリー │舞阪・浜名湖魚図鑑



南浜名湖は海の産地、全国でも珍しい海につながる浜名湖の最南端の舞阪は、遠州灘に網を曳き幸を水揚げしています。舞阪の魅力として沖には相模湾や駿河湾と同様の深みがあり、底曳き漁や深海への釣り漁が活躍していることがあります。

深海に網曳く底曳き漁の網で揚がる魚にクロムツがあります。

黒銀に光るクロムツは人気のアカムツより大きな目を持ち、大きな口には小さく鋭い歯が並んでいます。
同じムツの名で呼ばれていますがクロムツはムツ属の魚です。



人気の高まりから流通名ではノドグロと呼ばれるようになったのがアカムツです。

同じく深海の網にかかるキンメダイ同様内なら燃えるような赤を持ち、こちらには口に鋭い歯が見えません。
同じムツの仲間ながらこちらはアカムツ属の魚です。



舞阪に底曳き漁・深海の釣り漁の船が入れば直接目利きする料理店や居酒屋さんが集まってきます。

うまい脂を持つ深海の美魚たちは人気の魚、獲れたてを出すのではなく何日か寝かせてさらに美味しさを引き出すと聞きます。

ノドグロやクロムツ、深海の美魚たちが揚がるのが舞阪の魅力のひとつなのです。

※取材協力:浜名漁協 舞阪港の漁師さん
舞阪・浜名湖魚図鑑
舞阪港のお魚さん
共榮丸一艘曳き底曳き漁




 

舞阪港の赤い円盤 アカグツ

カテゴリー │舞阪・浜名湖魚図鑑



南浜名湖は海の産地、全国でも珍しい海につながる浜名湖の最南端の今切を越え遠州灘に漁する舞阪港の漁師さんの網に、時に珍しい魚が混ざります。

アカグツです。

まるで着陸脚を出したUFOのような姿、緑の目とぽっかり口を開いたこのかわいらしい魚がどんな魚の仲間かを想像しにくいのがアカグツです。



アカグツの体は丸く、尾とヒレが両側に突き出ています。

この形を見てもあのアンコウの仲間だとは気づきにくいでしょう。

アンコウは大きな口に歯がズラリ並びますがアカグツはぽっかり口を開いているだけです。

それでも尾やヒレを見れば「さては」と思うアンコウ類の特徴を持っています。



アカグツの腹も前出のアンコウの仲間、フウリュウウオと同様の特徴を持っています。

深海の砂底にはりつくように潜み、近づく魚をひと呑みする。
さて、この口ではアンコウのようにうまくいくのでしょうか。

舞阪港には深海の楽しい不思議もやってくるのです。

※取材協力:浜名漁協 舞阪港の漁師さん
舞阪・浜名湖魚図鑑
舞阪港のお魚さん
舞阪港の深海魚