舞阪港突堤4:19の男

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舞阪港突堤4:19の男

シロコ船の出漁を見たくて早起きの上に早起きをする。
朝4時に目覚ましをかけ、寝ぼけて起きればもう今切口を行く
航海灯が見える。
さらに早い漁師さんの朝に慌てて出かけるのです。

4:19の舞阪港はまだ夜の中、目が慣らして突堤に向かえば先
着は一人、一番先にその人はいたのです。

「おはようございます」 「おはよう」

年齢は大先輩、使いこなれた鞄に竿が一本、バケツがひとつ。
ようやく青みさす海に泰然と糸を垂らすのです。

聞けば90歳に手が届く大先輩は自転車で20分ほどかけてここ
に来ると言う、小さな魚を釣り過ごす朝が好きだと言う。

「大学を出て将校として戦争に行ってね、モンゴル国境なん
だ、ソ連が責めてきて日本人市民を守って北京まで戻った」
という話を聞かせていただきました。

豊臣秀吉しかり、出世の途中に最も危険かつ勇気がいるとさ
れる「殿(しんがり)軍」を率いる。
退却しつつ後方に食らいつく敵を攻撃し後退する。

歴史小説さながらの殿軍の将として活躍されたお話を淡々と
されるのです。

舞阪港突堤4:19の男

「あのおじいさんには負けますよ」と早い釣り人だれもが
早着では叶わないという。

「アジにサバにコウナゴに」と小さな魚をサビキで釣るかつ
ての青年将校は「戦友の会に行くとね、今でも一人部屋なん
だよ」と語る。

またお話を聞きたいなあ。
舞阪港の朝は、明けると共に人が釣り人がたくさんいること
に気づく。
人に話しを聞きながら潮の香りを胸いっぱいに吸い込む朝な
のです。



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