海風小僧の島

カテゴリー │海のおはなし

海風小僧の島

弁天小僧が南浜名湖弁天島に住むならば、海風小僧は赤鳥居
の向こう側、鳥だけが棲む「いかり瀬」に住んでいます。
いかり瀬は船が無ければ渡れない、南浜名湖に浮かぶ大きな
砂の島なのです。

四月から八月末までは潮干狩りで賑わういかり瀬ですが、秋
からは浜名湖海苔漁師さんが通うだけの無人島となるのです。

人こそはおりませんが、一年を通じて鳥たちがやってくるの
が海風小僧の自慢です。

弁天島から南の海まで幾重にも海が重なります。

弁天島の前の海は赤鳥居のあるいかり瀬まで、いかり瀬の南
には堤防までの狭い海、その向こうに今切までの海があり、
今切水道の向こう側が南の海です。

いくつもの海を越えますが、いかり瀬だって太平洋の島のよ
うに陸からは離れているのです。

このいかり瀬にかつてはビーチバレーボール場がありました。
今もよく見ればその時の日除けにした杭などが残っています。
かつてはそのグラウンドに通う若者たちが赤鳥居まで船で渡
って遊んでいたのです。

ヒューヒューと冬の風吹くいかり瀬にはたくさんの木が生え
ています。
それは少し昔、ひとりの漁師さんが木を運んでは植えたもの
だと聞いています。
いかり瀬は「海洋性気候」に晒されたところですが、その木
たちはしっかりと根を張って今も育っているのです。

たくさんの鳥たちが遊ぶ渚は賑わっていますが、海にも響き
渡る舞阪の四時のチャイムが鳴る頃には、鳥たちはみな飛び
たってねぐらへ帰ってゆくのです。

海風小僧は静かになったいかり瀬から、きれいな舞阪や弁天
島、新居の夜景に見とれながら夜を過ごしているのです。



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