舞阪港カツオ漁 哲昌丸 黒潮に挑む

カテゴリー │哲昌丸 黒潮のカツオ漁

舞阪港カツオ漁 哲昌丸 黒潮に挑む

魚は決して魚屋さんから始まるのではなく、その魚は海から始ま
っている。どんな魚もお金を出せば食べることはできるが、その
はじまりの時を知れば、さらに魚の貴重さを話題にすることがで
きるのです。

舞阪港午前0時、エンジンをかけた哲昌丸の和久田船長が待っ
ている。舞阪港のカツオ船団のほとんどが同時に出港する。
朝ではなくまだ深夜という時間の出港となる。

真っ暗な海を南へ、50マイルを4時間ほどかけてゆく漁の途中、
10マイルあたりでは三河湾へ向う貨物船などの航路を横切って
ゆく、真っ暗な中に航海灯をつけた船は目の前に迫れば巨大な
真っ黒の怪物となる。
さらに沖では自動車運搬船やタンカーなどのさらに危険な航路
を舞阪のカツオ船団は横切ってゆく。

舞阪港カツオ漁 哲昌丸 黒潮に挑む

船にはGPSが備わり、夜間航行用のレーダーが回っている。
けれども舞阪のカツオ船団の航海灯や回転灯の灯りこそが共に
黒潮に向う男たちを励ましている。

そして水温が急上昇した黒潮の海域に早朝に達する。

舞阪港カツオ漁 哲昌丸 黒潮に挑む

朝焼けの海で僚船「彦四丸」が隣に現れた。先日の舞阪水産ま
つりで水神様の注連縄をなった英二さんの船、これほどの距離を
一人でやってきている。
「男」は「漢」となり、黒潮の上にいる。

舞阪港カツオ漁 哲昌丸 黒潮に挑む

船の両舷から長く突き出させた曳縄竿に取り付けた曳き縄(トロ
ーリング)は潜航板などさまざまなモノを曳き、その先に蛸の形を
した擬似がつき、さらに後ろに鍼を曳いている。

黒潮の上を下を狂ったように飛び跳ね潜るその「目印」のさらに
後ろにカツオが食いつくのを待って船を進めてゆく。

カツオの群れの上を通ればその瞬間「黒潮カツオまつり」がはじま
るのです。

舞阪港カツオ漁 哲昌丸 黒潮に挑む

黒潮は割れしぶきをあげて丸い目を見開いた潮のカタマリが飛び
出してくる。船より早いその魚は時に船に近づくほど追いすがり、
潜航し、飛び出し、炸裂する。

「とれた」、船長は云い、素手でその曳き縄をたぐりにかかる。
カメラマンは両手を離してズームするが、ただ乱写するのみにに終
わり、体をぶつけ、転がっている。
船長はロール&ピッチングする船尾に立ち、カタマリを引き揚げに
かかっている。

※取材協力:哲昌丸



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この記事へのコメント
これからカツオを頂く時には、この記事を思い浮かべてありがたくいただきます。
Posted by 幻想堂 at 2012年04月20日 18:56
カツオ漁の実際はまさにハードな男の世界です。
いただいたカツオの美味しさをかみしめる時、黒潮の上
のあの時間を思い出しています。
Posted by イチロー@二代目弁天小僧イチロー@二代目弁天小僧 at 2012年04月21日 20:25
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