舞阪港出航 トラフグ漁の海へ

カテゴリー │漁徳丸遠州灘トラフグ漁

舞阪港出航 トラフグ漁の海へ

トラフグ漁の僚船たちとくじ引きで漁場を決めてすぐに漁徳丸は
舞阪港の着場(つけば=船の係留場所)を離れる。
ディーゼルエンジンがうなり、真っ暗な海に向かう。
浜名湖内にある舞阪港から浜名湖が海に繋がるわずか200メートル
の海峡、今切は目の前である。

僚船たちも夜間航行のための航行灯をつけそれぞれの着場を離れ
て今切を目指している。

「揺れるから座っていて」エージ船長の注意は今切通過の手前、
浜名湖と海を結ぶ狭い海峡「今切」は潮の流れが速く、漁師さん
にとっても緊張する海域である。

舞阪港出航 トラフグ漁の海へ

今切の長い堤防の先の赤灯台を越えれば遠州灘、弁天島からも
望めるこの赤灯台の明かりは5秒に2度点滅し、浜名湖の入出口を
知らせている。

キャビンでは船長が肉眼とレーダーを使って周囲の僚船を監視
する。さらにGPSを使って今朝の漁場へ向かう。
「今日は久しぶりにおだやかだよ」と漁への期待をこめて船長
が言う。11月後半、これからは海が荒れやすく、うねりと波の
中で操業することとなる。男の漁場である。

漁徳丸は漁によって装備を変えながら年間の操業をする。
夏のアマダイ、手長海老漁では船尾のこの位置に三枚刺し網と
巻き上げ機があった。
この時期は船尾にトラフグ漁の底延縄(そこはえなわ)がはい
った「マンパチ(丸い鉢だからか)」16箱並んでいる。

舞阪港出航 トラフグ漁の海へ

漁場を決めても現地で左右に並ぶ僚船と絶え間なく無線で調整
をする。潮の方向を見極め、東から西へ、もしくは西から東へ
延縄を降ろすかを検討する。

潮の方向は毎日違い、網やはえ縄を降ろす方向が漁を左右する。
「今朝は上り(のぼり)潮だね」と船長が言う。

上り潮とは東から西へ向かう潮だと教えていただく。
現在なら上りは東を表すが、漁師さんの世界では旧い時代どお
り、京を上と見る。つまり西への潮だと知る。
こんな漁師さんの世界、言葉を一つひとつ知ることが同行させ
ていただく喜びとなる。

日の出待ち、舞阪港の多くの漁と同じく、準備を整えて日の出
を待つ、トラフグ漁も「日の出操業」となっている。

※取材協力:漁徳丸



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