早暁五時、舞阪港を出港したシロコ船(しらす漁船)第三冨士丸
(網船=あみぶね)と共に綱(つな)を曳く綱船(つなぶね)の第
一富士丸は最後の網を巻き上げます。
舞阪のシロコ漁(しらす漁)は二艘で網を曳く二艘曳き袋網漁(に
そうびきふくろあみりょう)、獲れたしらすは網船(あみぶね)に
水揚げされます。
袋網に入ったしらすをデッキにあげ、鮮度を保つよう海水に氷を
入れた樽に入れたしらすはボウラ(水揚げ用の青い籠容器)に詰
められていきます。
何度もの網揚げの後、作業するデッキはこぼれてしまうしらすが
ありますが、作業の前、後には全て洗い流されていきます。
海水を放出するホースで道具もデッキも清められてはじまる作業
は、また作業が終われば当然のように清めてゆくのです。
常にデッキは清められえてはじまる一回目のまま保たれています。
重ねた作業の汚れを許さず、徹底的に清潔な道具で作業をする
のです。
「毎回こんなに清掃をするんですか」
「当然でしょう」、事もなげに清掃を続ける乗り子(シロコ船に乗り組
む漁師さん)は言い、作業を続けるのです。
最後の水揚げをボウラに詰め、数十kgもの重さをカンコウ(デッキ下
にあるスペース 生簀に使う場合もある)に納めていきます。
氷を巻き、新鮮さを保つのです。
船は進み、母港舞阪港が近づいています。港に着く直前にまたデッ
キに並べ新鮮さを競り場にバトンタッチする直前でも、鮮度を最高の
ままに保つためにカンコウに保存するのです。
最高の鮮度を誇る舞阪のシロコ(しらす)のクオリティは海の上から、
徹底されているのです。
デッキ上ではまた作業がはじまります。
その作業は明日の漁のためのさらに徹底清掃の作業です。
※取材協力:冨士丸