浜名湖で70年 雄踏の名物漁師85歳加茂武さん 後進に道を譲る

イチロー@南浜名湖.com編集長

2018年09月05日 10:49



南浜名湖は海の産地、全国でも珍しい海につながる浜名湖は潮の干満を利用して海の魚が行き来し育つ、海ともいえる湖です。

毎朝通う浜名湖の雄踏市場でさまざまに魚のこと浜名湖の漁のことなどを教えてくれるのが雄踏の大ベテラン漁師の加茂武さん(85歳)です。

8月31日で勇退された加茂さんの記事が静岡新聞に掲載されましたので転載して紹介させていただきます。



浜名湖で70年”名物漁師”引退(静岡新聞8月31日夕刊掲載から転載)
85歳加茂さん「後進に道」

浜名湖で70年にわたって漁を続けてきた加茂武さん(85)浜松市西区雄踏町が、8月末で漁師を引退する。終戦直後から湖で網を引き、いつしか地元の市場でも最長老の”名物漁師”に。体力的にはまだ自信もあるが、「後進に道を譲る。若い漁師へ教えられることもあるし、地元に恩返ししたい」と新たな人生を歩む。

技術継承で恩返しへ



漁を始めたのは14歳だった1947年。尋常高等小を2年で卒業し、父と同じ漁師の道を選んだ。当時は手こぎで船を操り、網を引いてエビやウナギ、魚を捕っていた。父の引退後は浜名湖伝統の「たきや漁」を長年続け、今では定置網を仕掛ける「角立て漁」で生計を立てている。

20年ほど前からは妻の潤子さん(82)も加わり、早朝から船に乗って網を上げ、魚やエビを仕分ける作業を手伝っている。

体力的には「もうちょっとできると思う」と加茂さんは語るが、3年ごとに更新する漁業権の申請を8月末で見送った。「漁業をやりたくて権利を持っている人もいる、さみしい気持ちもあるが、そろそろ潮時」と一線を退く決意を固めた。


※引退当日に地域の漁師仲間・浜名漁協のみなさんと

自ら縫って仕上げた定置網の一式は、地元の漁師に分けた。漁を手ほどきして育成した後継者もいる。普段から漁のこつを聞いてくる若い漁師にも「変わらず聞きに来ればいい。網の作り方も教える」という。

今後は隠居生活を楽しみながら、地元漁業への恩返しは続ける。
クルマエビの漁獲はピーク時の1割イカ、ウナギの水揚げも激減。それに伴って漁業者は減ったが、「いろんなものが網に入るし、季節によって捕れる魚も違う。漁業はやっぱり面白い」。浜名湖への感謝を胸に、ベテラン漁師が船を降りる。
(浜松総局・金野真仁)

※最後に私から、静岡新聞社浜松総局金野さまのご取材・掲載に感謝いたします。
そして加茂武さん、長い間お疲れさまでした。

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