新たな海への小さな旅のきっかけは「
漁徳丸遠州灘アマダイ漁」
の翌日、そのお礼を言おうと港に行ったことからはじまります。
海況が許せば朝2時出港し9時過ぎに戻るという遠州灘沖の刺し
網漁を続ける
漁徳丸のエージ船長は、帰港後に翌日に備えて網
を整えている。そこに挨拶に行ったのです。
そこで網からはずされていたのは前回アマダイ漁では見なかっ
た不思議な魚「水フグ」でした。
「大きいのはドッジボールくらいあるんだよ」とエージ船長に
聞けばたまらない。アマダイ漁よりさらに沖の中深海の手長エ
ビ漁の網にかかるものだと言うのです。
それから3日、超早朝の2時過ぎに舞阪港を出港する漁徳丸に
再度乗せていただいていました。
この日は月夜、前回と違い月夜の海は以外にも見通しがきく
のです。
浜名湖も海につながる今切の海も遠州灘も明るく照らされてい
たのです。
目指すは今切を過ぎた舞阪沖8.5マイルあたり、三河湾への大
型船の行きかう航路の近くです。
さらに深く150メートルから200メートルの中深海の海域へと
エンジンを唸らせてゆくのです。
網は昨日帰港後に小さな魚などをはずして直したもの、船尾
にきれいにたたまれています。
まわりには航行灯を光らせた大型船がたくさん見えています。
近づく光とレーダーで同じ航路にいるものもあり、網の投入
後の曳き綱のコースを決めていきます。
月夜ながら遠くから近づく大型船の光は緊張するものです。
目の前になればその大きさに驚くほどの船が行きます。
安全操業のためにエージ船長は慎重に網入れの場所と時間を
決めてゆくのです。