ロッドが弓に曲がり、ラインは交錯し、隣のラインをくぐり
つつスポーツフィッシャーマンたちは格闘する。
舞阪港の遊漁船哲昌丸は新居砂上げ場で彼らを乗せて遠州灘
沖へ向かう潮目を見つけてシイラを追っている。
「ヘボッ!」何匹ものチャンスをもらってもシイラはニコン
の最大連写スピードを越えてしまう。
予想も大きく超えて何メートルも横っ飛びして走る。
いかつい大きな頭を狙えず、全てもぐりこむ時ばかり、シイ
ラはラインを引き抜きつつ体全体を揺らし使って水面下を行き、
急に反転して船の下まで突進する。
フォーカスは機械に任せ、アングルなどかまわずにただシイラ
に向けたカメラのシャッターを押して連写続けている。
それでも捉えられないほどのアスリートを撮っている。
時にはキハダ(マグロ)がヒットすることもあるんだ。
65kg級と格闘したこともあるんだぞ。
シイラ釣り侮れず、次こそと別のロッドの先を眺めて走る。
船中はラインをくぐり越えてゆく、お祭りはごめんだけれど
全員が笑いながら走り回っている。
哲昌丸 和久田船長:浜松市西区舞阪町 053-592-0919