舞阪港トラフグ漁 トラフグを揚げて
早暁五時、この季節の五時はまだ日の出前の真っ暗な時間、舞阪
港の浜名漁協購買の建物にある部屋でくじ引きがはじまる。
トラフグ漁の許可漁師さんが集まり、遠州灘を五つに区切った漁
場を決めるくじ引きがあるのです。
さらに陸(おか)寄り、沖と並びを決めて各船は夜明け前の海へ
出漁するのです。
「これは型がよかったね」
漁徳丸のエージ船長が釣りあげたのは中型のトラフグです。
700g以上が漁の対象ですが、最大では5㎏ほどにもなる旬のご馳走
魚です。
前回に書いたように、トラフグは指を切り取るほどの鋭い歯を持
っています。
釣り上げられると大きく膨らむトラフグを船長も両手で包むよう
に抱えて見せてくれました。
600本ものハリにエサをつける手間をかけて沈めた底はえ縄ですが
そう多くのトラフグがかかるわけではありません。
トラフグは大切に活きで運ばれます。
トラフグ同士が傷つけ合わないよう仕切られた生簀に入れてまず
は落ち着かせます。
その後に、甲板下にある生簀に仕舞われます。
大きなトラフグを数獲ること、漁には運があり、漁場の選択があり
その日の状態はまちまちです。
一本づつはえ縄に繋がって揚がってくる仕掛けを覗きながら船長の
仕事は続くのです。
※取材協力:漁徳丸
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