木遣りと言えば鳶の頭や若い衆だけ揃い祭り行列などに歌わ
れるものですが、全国各地に伝わる木遣りは労働歌であったと
いいます。
山から木を下ろす、石を運ぶなど人数がいる仕事の息を合わ
せるために歌われ、合いの手を入れて力を出すのが木遣りの
はじまり、舞阪大太鼓祭りこと岐佐神社祭典にも木遣りがつき
ものとなっています。
これは宵祭り、岐佐神社の石段上に太鼓台に載せた大太鼓が
あがってきます。
石段上で綱を曳き、太鼓台には青年がついて「三段だ」「一段
だ」と声をかけあえば木遣りがはじまる。
独特の節回しの木遣り名人が頬かむりで音頭をとる木遣り朗々
と響く様子は岐佐神社祭典ならではの風情、舞阪衆は大太鼓
を上げる音頭の木遣りを楽しんでいるのです。
木遣りの節の後、全員で「アーレハ アリャリャンリャン ヨーイ
トコ ヨーイトコ ヨーイトコセー」と続く。
大太鼓についた青年は前から横から後ろから太鼓台をこじあ
げようと構えている。
そしてズシリズシリと重い音をさせて大太鼓は上ってゆくのです。
止まればまたはじまる木遣りに息を合わせてゆく。
木遣り名人の節回しよろしく声高く境内に響く、ズシリズシリと
あがる太鼓は神の待つところを目指してゆく。
神の前で見せる人々の力の和、力持ちが揃う舞阪に木遣りが
響けばさらに力を見せることができるのです。