生き物のすばらしさはその美しさを見つけたり、不思議さに驚い
たりするものですが、同じ種(魚)の中にキラリ美しいものに出会
えるのも漁港散策の楽しみのひとつです。
何十種もの魚を見るうち「一目ぼれ」する魚もあるのです。
アマダイが最も美しいと思う弁天小僧ですが、やはり魚らしい形
でいうならば鯛類となるのでしょう。
春に解禁された舞阪港の鯛網漁は、さまざまな種類の鯛がさま
ざまな大きさで水揚げされています。
舞阪港の仲買、丸小水産(まるこすいさん)さんの競り落とした
魚を見せていただきました、
「チダイ」です。
赤く美しいマダイをさらに美しくした小型のチダイは、エラの後ろ
に血がにじんだような赤い刺し色を持っています。
そして金に光るのです。
マダイには水産用の大バケツに納まらないほどの大きさに育つ
ものもありますが、こちらが魚の王様なら、チダイの金襴美しい
姿は王女さま。
むしろお姫様という表現に似合う美しい魚です。
マダイは焼くと赤い色を損なう場合があるそうですが、チダイは
焼いてもその美しさを失わない。
ゆえに浜焼きなどに用いられると聞いています。
舞阪港のお姫さま輝く、しばし美しさに見とれてしまうのです。
※取材協力:浜名漁協