海風小僧は弁天島の赤鳥居の南の瀬、無人島のいかり瀬に住
んでいます。
海の中の大きな瀬には木も生えていますし、草花もあります。
みんな海洋性気候の中でがんばって育つ仲間たちです。
そして昼間にはたくさんのカモメやウミウなど海鳥の仲間も
やってきます。
海風小僧はひなたぼっこしながら去年の夏を思い出していま
す。そう、小さな子供たちが赤鳥居にやってきたあの日のこ
とです。
小さな子供たちは「たんけん」が大好きです。
なにより弁天島の桟橋から船に乗って渡るもドキドキするほ
ど「たんけんきぶん」になります。
そして鳥居前の桟橋について「ぴょんぴょん」と砂の上に降
りればそこは無人島なのです。
足元には貝がたくさん落ちています。カニもヒョコヒョコ歩
いています。貝を拾えばヤドカリであることもわかります。
なにもかもが「たんけんきぶん」の島なのです。
「記念撮影しよう」と先生が子供たちを一列にして行進させ
ます。赤い大きな鳥居までの真夏の行進です。
この鳥居は子供たちのお父さんたちが大好きなガンダムほど
の高さがあるそうです。そうあの東静岡駅で見た大きなガン
ダムと同じ高さなのです。
一列になって記念写真を撮りましたが、さて先生は真っ赤で
大きな赤鳥居と子供たちを一緒に撮れたでしょうか。
海風小僧は急いで空を飛び、向かいにいる弁天小僧に写真を
撮るようにお願いに行きました。
そしてこんな写真が撮れたのです。
「今年も子供たちがやってくるといいなあ」
海風小僧は赤鳥居の上に寝そべってひなたぼっこしています。
そしてまた来る夏を想像しているのです。