シーナマコトと出合ったのは、デカ焚き火で遊ぶ「あやしい探
検隊」に憧れて読み始めたのだが、やがて彼がSFを書いていた
と知る。
じつはアウトドアは憧れだけで実際にはまるで経験がないのだ
が本で事前演習をするという悪癖がある。
小学校の頃からSFに目がなく、中学になって図書室のSFを読破し
ていたぐらいだから、すぐにSF作家「椎名誠」に夢中になる。
特に「水域」は今に続く海への興味を広げた作品となっている。
この作品は地球が降り続く雨でほとんどの陸が水没し、生き残っ
た者は漂流しながら生きてゆくというお話なのだが、漂流する海
に登場する魚たちの名前はみな、シーナ流の名前がつけられてい
る。
舞阪港に通えば一回ごとに一種くらいの魚の「本名」を知るヨロ
コビがあるのだけれど、まだ名を知らぬ魚がたくさんいる。
いつになれば全て覚えられるのかというほどの種が港にもいる。
そこでシーナ流に名前をつけてしまえ!という荒業と使いたくも
なるのである。
ちっぽけな魚を見つけては手にとるのは、それが面白い姿をして
いるから、さしずめこれなどは「ヨレアシカサゴダマシ」とでも
名づけたい。
魚の面白さは幼魚も成魚も混ざって網にかかること、もちろん
小さな幼魚などはセリにかけられるわけもなく、ボウラに集めら
れて海に放られて、カモメの取り分となる。
カモメ行きになる前に取上げてはこうして撮っている。
さらにこれで成魚かもしれないと思えば、また面白いのである。
ようく見るとムナビレだけは巨大なのだけれど、脚のように変化
したヨレヨレをつけ、それでも背ビレだけはツンツンと威嚇する。
こんな小さな怪獣魚を見つけると本名を調べるより、名をつけたく
なる。
「ヨレアシカサゴダマシ」さて、いかがでしょうか。
※取材協力:浜名漁協