夜の弁天島、JR弁天島駅からホテル群のある反対側に渡り、舞
阪港方面へ橋を渡り、舞阪の町へ向かうと夜のは夜の楽しみが
あります。
港に向かう道の左側、赤提灯が目印の焼鳥の「肥後」は九州の
肥後(熊本)から来て30年というオヤジさんがやっているお店
です。
「オイ!鮎くれ」、さきほどから大きな声で楽しい話をしてく
れる漁師さんがネタケースを指さしてオヤジさんに言う。
「ワッハッハッ」とカウンターの列は爆笑してるのはその魚が
アジだからで、しつこくも面白く「鮎オーダーが続く」、オヤ
ジさんは苦笑いしながら相手にせず、せっせと他のオーダーを
こなしてゆく。
網を曳き、魚どっさりの網を曳きこむから漁師さんの腕は太い、
太いだけでなくて固く、二の腕の盛り上がりはカチンカチンに
なっている。
勝手にその漁師さんを「ポパイだ」と名づけて隣と笑いに加わ
っている。
手伝いの女の子は遅れていてオヤジさんはメシが食えずにいる
のだが、底引き網で獲れる手長エビのウマさについて話してく
れる。
じつは味噌汁に入れると天下一品なのだと教えてくれる。
「まだこれからの季節だけどな」
「手長エビの味噌汁」、ちょっとメモメモしておかなくちゃ。
カウンターに入るにはお客が席を立ち、足元のくぐりを抜けて
入る、向こうのお客さんの背中に見えているのは背ほどの高さ
もある冷蔵庫の扉である。
その冷蔵庫は本来の機能のほか、更衣室ともなっている、なん
て聞けば手伝いの女の子が来るのが楽しみとなる。
今宵も焼鳥肥後の夜は更けてゆく。
看板とは違い、魚がおいしく最後にスペシャル味噌汁を飲ませ
る店である。