浜名湖幼魚図鑑　この季節に育つ浜名湖の「コ」

南浜名湖は海の産地、全国でも珍しい海につながる浜名湖は潮の干満を利用して海の幼魚たちが行き来し育つ、海ともいえる湖です。

浜名湖の幸が集まる雄踏（ゆうとう）港市場へ水揚げされる魚やカニ・エビの多くは浜名湖伝統の小型定置網「角立て網（かくだてあみ）」に入ります。

潮の干満を利用して網の先の袋（袋網）に入る魚の中に浜名湖で育つ海の魚の幼魚たちがいます。

この季節浜名湖に群れて泳ぎ育つのはサバコ、浜名湖の漁師さんは幼魚に「コ」の名をつけて呼びますからサバコはサバの子、アジコはアジの子、ここには紹介していませんがコノシロの子はシンコと呼ばれています。

浜名湖に多いサッパは瀬戸内岡山辺りでいうママカリのこと、細長く薄っぺらいその姿は浜名湖の漁師さんの作業船サッパ船にも似ています。

ネコタと呼ばれるのは釣り人に嫌われるエサ盗り魚ヒイラギのこと、カナガシラはホウボウ類の魚ですが浜名湖に棲むカナガシラは見事な蝶のように美しいヒレを持っています。

カタクチイワシは舞阪や新居の船団が獲るシラスの育ったものです。



幼魚だけを集めて売ることはありませんが、混獲された魚を市場で選別した上で余った魚をひと籠（競り単位）にすることがあります。

珍しい幼魚だけの籠にはこの季節浜名湖を泳ぎ育つ小さな幸であふれていました。

海とつながることで幼魚が育つ浜名湖はアジもサバも泳ぐ海であるのです。

※取材協力：浜名漁協雄踏支所　雄踏港の漁師さん
※雄踏港市場のお魚さん