人の世界でもしばらく見ぬ他人の子の成長を見て驚くことがあります
が、魚の世界はさらに早い、一年や二年で成長を終える魚介の成長
は驚くことが多くあります。
初夏に岸辺や防波堤に寄るコウイカは、浅瀬の藻場や網などに卵を
産み付けるために近づきますが、その子は夏に孵り、成長をはじめて
いる。
夏に小さいイカ「新イカ」が出始めたなと思っているうちに、もうコウイカ
は手に余るほどの大きさに成長しています。
コウイカはその名のとおり胴に大きなフネ(甲)を持っていて、取り出せ
ばうまい刺身の歩留まりが悪いといわれますが、もうどうして充分な大
きさに育ってきています。
雄踏港市場に並ぶアオリイカもコウイカも新イカとなって立派に市場を
賑わせるようになっています。
コウイカの入った籠は別名スミイカとも呼ばれるほど、真っ黒な墨がつ
いています。スミイカの墨は「セピア」と言いますが、あのセピアカラーの
こと。刺身としておいしくいただきながら、墨はまたパスタに活用をする。
ますますおいしそうに思える新イカのコウイカは、親になる前の若い身を
愉しもうと、取引されています。
※取材協力:浜名漁協雄踏支所