徳さんの燗 旬菜一徳
南浜名湖村櫛(むらくし)は南浜名湖の奥座敷、XIV浜名湖
などもあり、大切なお客様を通す客間でもあります。
その村櫛でまもなく三年、長く修行を積んだ料理人徳さん
が腕の冴えとひと手間かけた料理を出すのが「
旬菜一徳」
です。
予約で座れる八席のカウンターでお造りに揚げ物に舌鼓を
打てば腹がぐっと決まり、さてここからは落ち着いて熱燗
をいただこうなとど考えるのが冬の夜なのです。
「徳さん熱燗をね、酔うといけないから一合ね」(アイヨ)
さて酒呑みはこの燗の時間が待ちきれませんが、徳さんは
村櫛の湯に入れて出してくれました。
湯を張った湯船の下に固形燃料にも似た蝋燭を燃した一徳
五右衛門の湯の登場です。
「うれしいねえ」と酒呑みはこんなことがやたらとうれし
いものであります。燗を冷えさせないという心遣いです。
「いい湯だな」、酔客はこんないたずらをしては隣あった
お客さんと楽しんでいる。
千代紙の箸置を粋におつむりに乗せましていい湯だな。
南浜名湖村櫛にあります旬菜一徳の湯、さて湯あがりには
冷酒といきますか。
徳さん、揃ってるねぇ、村櫛で沈没しても舞阪はすぐそこ。
湯にも入ってさっぱりと、この後で飯も食うからね。
徳さん笑い、隣のご縁のカウンター仲間も笑う夜は更けて
ゆくのです。
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